A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

筐体バランス/機械バランス

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水平器が来たから置いてみる。

時計は帰って来てから運針を続けていて、一度も止まっていない。
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超小型であるが、シビアに動くから上等。

然し乍ら、筐体水平は結構斜めっているが、機械バランスはこれで丁度良い。

筐体水平で合わせると機械バランスが悪くなるから、機械に合わせてやる必要がある。

 

掛け時計でも筐体にゼロバランスの印があれば、そこへ振り子の真が出る様にしてやる。

その時に筐体が曲がっていても機械バランスが良ければそれで良いという事になる。

筐体水平ばかりを気にして掛けている方も居られるが、筐体水平で合わせて止まる様ならば機械バランスを調整してやる必要がある。

欧州の機械はバランス調整のネジが横に出ている古いタイプと自動型とがある。

国産の服部時計の機械でも、業務用はダイヤル式のバランサーが付いている物がある。

それ以外は、真鍮のアンクル棒を曲げて調整する他ない。

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水平器をヤスリで斜めに調整して置いた時に真上を示す様に調整。

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微調整を繰り返し、上手く動く所で真上を向く様になった。

何処に置いても、これを基準に合わせれば運針する。

 

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場所を変更して1日問題なく動く事を確認。

 

輸送の際に機械にも緩衝材を入れて来られる方が居られますが、ホコリ、チリが入り、オーバーホールをする必要が出る可能性、バネ糸が捩れの原因になる等、不具合を多くさせる原因になりますから、ケース内には緩衝材は絶対入れないで下さい。

振り子のあるタイプは、振り子を外して振り竿を輪ゴムに掛けて、遊ばない様に固定して輸送します。無理に引っ張る事はしてはなりません。

回転振り子の場合はレバーで振り子を固定に必ずさせて移動、輸送、時間調整をします。

バネ糸は外れ易く切れ易いので自由運動をしている最中に触ってはなりませんから、必ず固定の位置で作業します。

回転は1回転程度を最大とし何回転もさせる様な事をしますと糸がヨレてアンクルバランスが崩れます。勢いをつけて回す様な事はしてはなりません。

近代の掛け時計は振り竿留め金具がある場合があるので、それを掛ければよろしい。

振り子と巻き鍵はケース内に入れて輸送はしてはなりません。

ケース外側に添付し、ケース内は振り子を固定した以外は緩衝材等を入れてはなりません。

棒リン式の時報の場合は留め具がありますから、これを固定します。(回す乃至レバー式)

無い物もあるから、これは其の儘で良い。