A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Tokyo Sound Valve 300 修繕

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毎度の修繕用、通い箱が届きました。

箱がかなりボロになって来ています(笑)

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今回の修理依頼品は、TokyosoundのValve300。

パワーアンプセレクタ複合機で、スパイスに低域ブースト回路が仕込んである様子。

6L6GCのppで30Wは片ch出るかなという印象のOPT。

会社の前身はGuyatoneらしい。ギターアンプ屋だ。

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既に分解済みでネジがチラホラ外されていて、ポリ袋に。

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曰く、“修理代詐欺アンプ”との事。

短期で寿命が来る設計を改良して、長期安定型にしてほしいという御依頼だ。

見ての通り、6本の500V耐圧のケミコンは無残にも吹いている。

相当、耐圧ギリギリで運転している事が伺える。

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吹いていても構わないから、電圧をとりあえず見るのに通電してみると電源がそもそも入らないぞ?

Fを見てみると4Aが切れていた。

もう既に危ない系か?
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危険なカオリがするが、3Aを入れてフォーミングしながら印加すると、95Vの時点で505Vが無負荷で出ていて、100Vを印加したら520V位は掛かりそうだ。

500V耐圧のCにこれでは、スタート時だけだとしても、オーバーしていて吹いても不思議ではない。

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B回路にはリーク抵抗は入っていなくて、電源を切っても長くチャージされた儘になる。
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こんな高圧が掛かっていると、球が早くダメになるだろうから、チェックしてみる。

6L6は5000mho基準値であるが、1本は5000あってOK、他は4000、3000、2300で、エミゲンは1本。

中国製の12AT7らしくない電極をしている、12AT7という球は、5000mho基準であるが、4本中4本全てが1000か2000しか出ず、完全にエミゲン。

廃棄レベル。

こんな使い方をしなければ、もっと長く使えるだろうに、勿体ない使い方だ。

トイレや風呂場の60W用ランプハウジングに100Wの電球を使うと短期で切れるのと同じ。

使い方を誤っている=寿命が短い。

アンプも同じく、定格を無視してオーバーした設計はすぐに壊れる。

こんなのが多く出回るから、球は短寿命みたいな変な言われをされるが、ブラウン管のテレビも真空管であるが、20年30年使っていて、ブラウン管を交換した事がありますか?と聞きたい。中には確かに短期にヒーターが稀に切れるという物もあるが、相当レアーなケース。

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GCがまだない時代であるが、まぁ360Vが良いところであろう。

500Vは高過ぎる。

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AT7はシルバニアのデータブックには古過ぎて載っていなかったからマツダのハンドブックより。
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最大300Vであるが、多分コヤツの設計はEbb500Vは掛かりそうだから、電流を流して下げるかしないとならなくなるが、まぁ優に定格オーバーで動作していたのであろう。

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どう改良しようか(^ω^;;)

基板を見ると、-Cはリーク抵抗無しで電圧を与えているだけという具合だから、最大付近で鳴らした場合にAB2動作に入ろうとして、多分C電圧がフラフラと吸われて安定しない事と思われるし、平常使いでも、電圧の上下が凄そうな印象。

しかも1つのバイアス調整でステレオ同時に、4本を束ねているってんだから凄い設計だ。

所有の807のPAアンプは10Wのバリオームで電圧、バランスを調整する様に電流を流して安定を図った設計になっている。勿論、ステレオで纏めて調整しようなんて回路ではない。

少しこれは贅沢であるが、それにしてもあまりにもコストカットし過ぎ。

重要な部分をコストカットしてしまう辺りがギターアンプ屋らしい無謀な設計。

 

 

さて、どうやって電圧を下げようか。

本体には150Wの表記があるから、簡易計算してみて、ヒーターが4.8Aで30.3W。

そうするとBの450Vで250mA流れたら、112Wになるから、計142Wになる。

Bタップの電流は幾ら取れるのか分からないが、抵抗で下げるとしても大分熱になりそうだ。

Mos Fetを使うのが安定した電圧を通電直後から得るにはこれが良いかな。

 

考える。