A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Dist.

42ppについて、先日問い合わせがありましたので、ここに残しておく事に。

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トライオードでもテトロードでもペントードでも同じ
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例えばこの球の場合は、Ebb120としてIp1mA流し、Rpは120kが求まる。

Egを-1とすると、440μAであるから、Rkは2.3kになる。(グリッドバイアスにEgと表記しているが、規格シンボルはEc)
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-1Vを基準に0.5Vppの信号が入ったとすると、ロードカーブから、-0.5Vから-1.5V迄大凡均等に波形が振れる事が分かる。
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次に1Vの信号が入ったとすると、振幅は大きくなり、0Vから-2.0V迄振る。

更に1.5Vを入れてみると、0Vよりもプラスに振るからこれは0.5V分のクリップとなる。

グリッドに電流が流せる球の場合は、電流を流してプラスサイド迄振幅が出来る。
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ここで1Vの信号を入れた時の波形を拡大してみる。0.5V時の振幅幅と均等であれば、ここは広い筈であり、黒の線表した様になるが、間隔がかなり狭い事が分かる。

これでは赤の線の様になり、潰れている事が分かる。

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これは極端であるが、この様にアンバランスになる。

即ち、無歪での使用をするには0.5Vの信号迄しか使用出来ない事になるが、1Vの信号を入れて、この僅な歪みが耳につくかと言えば、ソースによりけりの事と思われ、その多くは気付かない、もしくは音色の1つとして捉える事が出来るかも知れない。

よって、フルスイング状態での使用しようとすると、その歪は多くなり、真のHiFiアンプとはちょっと言い難いかも知れない。

一見して出力が大きい意味は大音を鳴らすというだけでなく、小音量時に如何に歪みを少なく、真のHiFiと言えるかどうかという事も含んでいる。

昔に溶接が出来る程の出力があるアンプがあったが、それは例えるならば、マグロの大トロ部分の一部分だけを食べて、他を全て捨ててしまう様な、美味しい所どりし過ぎな程の贅沢アンプと言えると思われ。

当然、コンサートで使っても問題ないし、土台、基礎がドッシリと構えてあれば、多少の揺さぶりも耐える。

 

この事から、特にクラシックを聞きたいという方向けには丁度良く出来た42ppアンプである。

ただし、NFBは掛けていないから、少しテトロードくさいニュアンスが少々する時があるが、NFを掛けて相殺すると、結局どの球を使っても同じになってしまうから、あえてやっていない。

結論からすれば、117N7のアンプでも、出力は片ch 2W程であるが、100mWとか、小さい音でしか使わなければ、非常に歪みの少ない出力が得られる。

この事から、なるべく能率の高いスピーカーを使用する事をお勧めしている次第で、3dB違うと倍音違うから、1Wあれば屋外でもガンガンなる様なスピーカーを使った場合には、117N7の小さいアンプでも、十二分に美味しい所どりしたも同然となる訳であるが、100dB以上の高能率HiFi S.Pは現行で売っていないから、現行品に合わせてアンプを作る方が現実的である。

 


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最後にインダクタンス負荷、容量負荷、抵抗負荷の歪みを。

インダクタンス負荷は小さいトランスを使ったり、無理が生じた時に上部の右端からヘコみが現る。

小さいoptや無理のあるドライバトランスを使用すると確認できる。

ドライバトランスの場合は、2次側のグリッドが電流を吸い、負荷が強くなると起きる。

optの場合は出力に対して小さい物を使用すると起きるのを確認。

容量負荷は、カソードフォロアのカップリングに小さいのを使うと確認できるが、低域が出なくもなるから、聞くと分かる事と思われ。